第23章 火中の栗拾いからでも美味しい栗ご飯に仕立て上げてみせる ―北村貴さんの二拠点ライフ

 北村貴さんは、料理研究家山田玲子さんのご紹介で知り合いで、一般社団法人北海道熱中開拓機構 理事として「とかち熱中小学校」を更別村に開校する前から ‘地方での大人の社会塾’ 熱中小学校の教諭になっていただいた。

 十勝浦幌町で手広くご商売をやっている北村家に生まれた箱入り娘が上京し、会社勤めを経て二十代で日本で2番目となる ITマーケティング会社(株)マーケティングジャンクションを起業した。

今は弟さんが継いでいる北海道浦幌町「北村商店」で ‘老いてからでは遅すぎる’ ツーショット

 その後北海道にUターンし 2007年(株)グロッシーを創業。山田さんのような全国の料理教室主催者を束ねて「毎日のテーブルにストーリーを」をテーマに、全国の料理家350人や生産者と食が創り出す豊かな生活を提案してこられた。  その後、「フードソムリエ」「料理家ネット」主宰、一般社団法人日本味育協会理事、Dialogue for Everyone(株)取締役、一般社団法人十勝スタイル理事、とこれまでに5つの会社を起業している(そして事業を継続している)。

 東京と十勝の二拠点生活の割合は、最近は十勝が多くなっているという。

 十勝の人は、北海道開拓の中でも自分たちの土地は国よりも民間人の手によるものだという自負が強い。

 開拓は男の体力勝負の歴史、そしてそれを支える女性や家族の耐力の歴史でもある。男性優位の風潮の中で、貴さんは東京から十勝に戻っていろいろ挑戦する中で ‘ブスブス刺されました(笑)‘ という一方で ’女だてらに‘ といってそうしたことに安住する男性には常に辛口だ。

 最近十勝で引っ張りだこなのは、貴さんの実力が必要になって離さないということなのだろう。

 ECの草分時代を経験し、SNS時代のマーケティングで経験を繰り返して来た貴さんと、豊かな食と自治体の境界を越えて ‘十勝’ というまとまりを演出できる地で、今力を入れているのが、世代を越えた ‘食育’ の事業だという。

2023年2月帯広で開催された食の熱中小学校 ―KIDSシェフバージョンを主催

 二拠点生活の経験を生かした活動の変容ぶりも最近の講演テーマから見ることができる。「好きな場所でワクワクはたらく~サスティナブルキャリアとは?」「セカンドキャリア× ローカル 人生100年時代のキャリアの棚卸術」「学び続ける女たち」「ワークライフインテグレーション」etc。

 コロナ禍を乗り越えようと、全国の熱中小学校が Zoom導入によるハイブリッド型の授業に転換し、首都圏からの参加が可能になるや、大桃綾子さんと立ち上げた Dialogue for Everyone(株)は首都圏在住の企業人のセカンドキャリア構築を地方でのインターンシップで行うというユニークなアイデアで、2年連続で一般社団法人熱中学園とともに内閣府地方創生部門から関係人口作りの、学びを使った新しい手法として委託事業を受託している。

 Dialogue for Everyone(株)の粘り強いコーディネーションや集客活動、人事教育のコンテンツなしでは2年連続受託はあり得ないことだった。

 ビデオの冒頭で、貴さんに ‘欠点’ について質問したら、しばらく考えて「火中の栗とわかっていながら、見ていられなくなって拾ってしまうこと」という答えが返ってきた。

 少子化、高齢化が進む地方の自治体では、事業のプロに求めるものが大きく変わった。

 食やSNSのプロだけではなく、都会と地方の人をつなげるノウハウと実績に加えて学びの場の設計力がある。そうしたキャリアはまさに、 ‘火中の栗’ を拾いながらもバランスのとれた形で成長してきたものではないだろうか?

 インタビューに乗じて、もう一つ拾ってほしい火中の栗をお見せしながら、今回もまた貴さんにお世話になってしまった。

北村貴さんのインタビュービデオは、こちら:

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