第45章 松岡隼人さんの「謙虚力」がリードする ‘ひとよしくま’ の未来

 松岡隼人人吉市長は37歳で、現役市長を僅差で破って当選した。

 その後の2期間、8年間は熊本地震、コロナ禍、そして熊本豪雨と非常事態が次から次へと襲う。その松岡さんの座右の信条は「謙虚」である。

 この窮状では、あらゆる力を結集して市民とコミュニケーションを絶やさず、明るい将来を長い目で夢見てもらうというタフネスさが必要という意味で、松岡隼人さんの ‘若さ’ は貴重だった。変な言い方だが、この熊本豪雨から復興する熱中小学校の活動がなかったら、松岡隼人さんとはこれほどまでにはお近づきにはなれなかっただろうと思う。

2022年8月、前列私の隣は松岡隼人人吉市長、授業先生の宮川将人さんご夫妻。後ろは右から富山孝治さん、溝口尚也さん、祇園下千裕さん。球磨焼酎のひととき

「ひとよしくま熱中小学校」が授業を行っている熊本県人吉市 ‘くまりば’ の正式な名称は

「人吉市まち・ひと・しごと総合交流館」といい、元は球磨川沿いの国民宿舎だった。

 悠久の球磨川の流れのほとり、川の流れを聞きながらワーケーションもできる場所でもある。‘球磨る’ とは、球磨で「生きる」「出会う」「新しくつくる」という意味で、そうした人たちが集う場所という意味の ‘くまりば’ は2020年の7月の熊本豪雨で床上浸水した。熱中小学校各地からのクラウドファンディングや近隣の宮崎小林熱中小学校からの泥さらい応援で、遅れながらも開校にこぎつける。

絶対に開校する!という信念が生れた‘くまりば’の復旧作業。小林市、人吉市の皆さん

 あのときの「何としてでも人吉球磨に新しい学びの場をつくるんだ」という想いがこの学校の高い熱量を支えてきた。

 ‘くまりば’ の施設運営者であり、ひとよしくま熱中小学校の事務局でもある、一般社団法人ドットリバー代表理事の富山孝治さんによると、危機を切り抜けてここまで来たのは役場と民間のチームワークの良さと、スピード感だという。

 松岡隼人市長がユニークなのはこの民間交流施設内に、役場の担当課を入居させていることだ。施設には、観光の入口として、日本遺産人吉球磨エントランスセンターもある。

 併設されている「人吉しごとサポートセンター」は起業創業の相談窓口であり、役所の担当課の中には移住、定住の相談窓口もある。宿泊、会議、ワーケーション、そして事務所の入居もできる。市外から来た人に対する入口が一元化されているのだ。

 たとえば、私が「食の熱中小学校」に関してひとよしくま地区の企画の打ち合わせに出向いても、役場に行く必要がない。ひとよしくま熱中小学校の授業の合間に隣の会議室に役場の方がすぐに現れる、といった具合だ。

 線状降水帯による災害のように、今や全国どこでも、いつでも起こりうる異常気象は日常茶飯事になった。人吉球磨地区の体験は貴重な事例であり、その対策は注目されてゆくだろう。

 松岡さんは、まず周囲の考えを良く聞き、地味なスタイルながらも周囲の力を引き出しながら、これからもしぶとく復旧活動をされていく。それと同時に、他の自治体や国の施策もリードしていかなければならない立場に移っていく。

 今回宿泊したホテルは、2年間を経過してようやく再建されて、開業したばかり。

 今回の訪問で ‘くまりば’ の最後に残された、復旧されてない温泉施設が、来春の再開に向けて工事が始まるという。

 ぜひ、松岡隼人さん、そして仲間の皆さんと一緒に入って語り合いたいものだ。

松岡隼人さんのインタビュービデオはこちら:

「食の熱中小学校」熊本県人吉球磨地域コースの情報はこちら

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