第70章 上松恵理子さんに聞きたい ‘ 社会にAIがやってきた!’

 上松恵理子さんとは互いに、世界トップレベルのオープンエデュケーションの国内学習を促進するNPO法人Asuka Academy の理事になっている。熱中小学校の教諭としても開校から長くお世話になっていて、故郷の新潟県に熱中小学校が欲しいと佐渡にご一緒したこともある。現在は東京大学先端科学技術研究センター客員上席研究員、早稲田大学情報教育研究所招聘研究員、新潟リハビリテーション大学特任教授であられる。

 上松恵理子さんといえば、教育現場への ICT技術の受け入れについて海外の教育環境と照らして、我が国の特に小、中学校の対応について警鐘を鳴らし続けてきた。大学卒業後、地元新潟の高等学校で国語の教師として教育界にはいり、10年の専業主婦の時期を挟んで中学校、高校、短大、大学や大学院での教員として現場で一貫した経験を持っている。

 当初は国語の教師として、校内にパソコン教室という隔離された部屋があり、通常の教科との連携が希薄なことに疑問を持っていく。以来、2020年にはプログラミング教育を導入し、コロナ禍では全員にオンライン教育を、というかけ声で、全国の小中学校にPCやタブレットを1人に1台、大量導入された。

 上松恵理子さんが訴えてきた環境が一気に普及したかに思えるが、ご本人は「それは夢のように素晴らしいことなのだが、まだ生徒の自発的な道具になっていない」と、課題も指摘する。

 これは海外では小学校あたりから始まる議論だと思うが、ChatGPTといった生成型AI利用にどう対応するか? テクノロジーは教育分野に常に課題を問い続ける。生成型AIに整理された文章や画像を生成させて、学習者が自ら誤りを見つけたり、自分の考えの参考に使ったりしていけるレベルに達するようになれば、世界中でスピード感をもって仕事を進めていけるようになるに違いない。

 あまねく、落ちこぼれなくテクノロジーを教育界に定着させていこうとすると、どうしても時間がかかる。例外を認めにくい日本社会では、、と、海外の教育機関に目を向ける親たち、若者たちがいる。

2019年2月16日、とくしま上板熱中小学校での上松さんの授業風景

 上松恵理子さんは(株)スノーピーク社外取締役就任にあたって早稲田大学のビジネススクールで MBAの EXCECUTIVE のコースを修了されたと聞いて驚いた。

「会社の数字の読み方を理解し取締役として経営課題の議論に参加するための必要な知識獲得には時間を投資する」という ‘学びの信念’ に揺らぎはない。

 現在、企業はルーチンワークのような業務から生成型AIを導入する傾向があり、上松恵理子さんは教育とビジネスという視点が持てる位置にいる。

 以前から継続している海外教育事情の調査活動にも幅が広がるに違いない。

 上松さん、次の出版は ‘社会にAI がやってきた!’ 期待しています。

上松恵理子さんのインタビュービデオはこちら:

食の熱中小学校はこちら:

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