第13章 プリズムの中の「熱中小学校」

 最近しばらく新規開校話がなかった「熱中小学校」だが、新規検討の話があり「熱中小学校」の本質について簡単にお話しする機会があった。

 個人にとって「自分とは、何者か?」という問いの答えは永遠に続く。

 まず、己を知るには、自分を映す鏡としての他人の存在が必要だ。
 自分とは違った人々の鏡を自分に反映することで相対的に自分の姿を得ることができる。
 多様な人々と協力したり、対立したりしながら、やがて、他人とは違う自分の存在がわかってくることがある。自分のユニークな性格や考え方を大切にする気持ちが生まれてくる。そして自分の好きなこと(つまり得意になっていくこと)がわかってきて、その分野では人から褒められることも経験しながら、やがて自信や満足感が出てくる。
 つまり、自分の好きなことや得意分野があることを気付かせるしくみ、それをもって多様な他者と長い時間付き合えるしくみーそれが「熱中小学校」だ。 好きな分野や得意な分野で他人から同意や称賛を得られるよう継続して努力する状態を ‘ウェルビーイング’ といい、他人の力を使って自己を認識する機会を提供するしくみを「熱中小学校」は大切に継続していく。多様な世界からやってくる先生の授業もその触媒になる。

 もともと「熱中小学校」に関心を持つ人は、誤解を恐れずに言えば、今の周囲の人間模様だけでは満足できない、新しい学びや成長、出会いの機会を求めている人が多い。 ちょっと尖がった人も含んで集まった多様な人たちが織りなすプリズムの鏡に自分の姿をすぐに映し出すことは難しいが、何らかのきっかけから発見した自分の好きなこと、得意になれることを伸ばしていくプラス思考の環境が特徴なのだ。

 各地の自立独立した学びの場を継続するのは容易ではない。しかしながらどんなブランドも長い期間継続すると、継続できているだけの何らかの理由があり、私はそれが「熱中小学校」のブランドのコアの力だと思う。新しい学校の設計には、この目に見えないコアの価値を意識しながら開校の準備をすることができれば理想的だ。優先順位がはっきりする。

 人の成長に限界はなく、成長した仲間が映すプリズムの鏡は毎日のように変化し、自分の成長も相手の見る鏡もまた進化してゆく。学びを大切にする街の活動も変化し、そこには成長の原動力となる、主体的に取り組んでゆく住民も歳を重ねてゆく。。

 ブランドのコアの力を確信できる集団はやがてブレイクし、周囲も影響されてゆく。

「学びと人の成長を大切にする土地は、やがて栄える」。このことは、30年くらい経つとわかってくるのかも知れない。

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