第24章 熊野古道大辺地ルートに ‘一方的に’ 恋をして ― 熊野古道・健脚食熱の旅開発縁起 ―

近熊野古道・健脚食熱の旅 ―歩いて美味しい紀南の食文化と蒸留所を訪問―
https://shoku-no-necchu.com/wakayama2025/
これまで取り上げられなかった文化遺産、食、醸造所と熊野古道大辺路ルートを組み合わせた「食の熱中小学校ツアー」が誕生した。以下がその内容だ。

「食の熱中小学校」のツアー Webページより:
まだ歩く人が少ない熊野古道大辺路街道ルート。世界遺産「長井坂」をゆったりと走破する歩きと豪華な伊勢海老やイノブタ鍋コース、熊野が誇るウイスキーと地ビールの醸造所めぐりを楽しむコースです。紀州くちくまの熱中小学校が企画しました。
窯で炊いたお米と山の幸でお弁当を自作し、熊野古道から海を眺めながら4キロ半の街道を2時間半かけて歩いて途中で昼食。夜は伊勢海老の鍋料理と、すさみ町が発祥の地である、イノブタ(イノシシと豚の掛け合わせ種)、レタス(栽培発祥地)の鍋の食べ合わせになります。2日目は熊野が生んだウイスキーと地ビールの醸造所を訪問して昼食。白浜の「とれとれ市場」経由第2便に乗れるように南紀白浜空港13時解散になります。

■日 程:2025年12月6日(土)~7日(日) 48,000円
(6日のウォークは雨の場合は熊野本宮大社参拝になります。)

紀州くちくまの熱中小学校の名前の由来は、‘くちくまの’ つまり熊野古道の入り口にある学校ということだ。「食の熱中小学校」のすさみ町ツアーも数を重ねてきた中、熊野古道はずっと身近な存在だった。
熊野古道は、関西から下る紀伊路が田辺市に至り、熊野本宮大社を目指す中辺路、田辺市から海沿いを歩き熊野那智大社を目指す大辺路、高野山から熊野本宮大社を目指す小辺路、そのほかにも伊勢路、山伏の修行道大峰奥駈道がある。熊野本宮大社、熊野那智大社、熊野速玉大社の3社と那智山青癸岸渡寺に祈願する修行・巡礼の道であるが、観光客の利用は圧倒的に中辺路ルートが多い。

(和歌山県公式観光サイトから転載)

 私自身は紀州くちくまの熱中小学校の皆様の案内で中辺路を車で連れて行っていただいた。
 熊野本宮大社を目指すという目標が明らかで、徒歩では厳しい道だが車やバスで行くことが可能だ。熊野古道はスペインのサンディゴ・デ・コンポステーラの巡礼路とは姉妹ルートになっていてヨーロッパの旅行者も多く、いわゆるメインルートとして将来オーバーツーリズムの可能性もある。熱中小学校や食の熱中小学校のツアーなどで、上富田町やすさみ町を走る海沿いの大辺路ルートが身近にあったが、中辺路ルートと違ってなぜこのルートがポピュラーにならないのかずっと気になっていた。

 まずは、旗振り役としての自治体だが、中辺路は行政の区画が出発から熊野本宮大社まで、広域自治体である田辺市内にあることが大きい。田辺市だけでできることは多いし早いだろう。ネット上の案内も、田辺市熊野ツーリズムビューローのサイトの他に、熊野本宮観光協会のサイトも立派で、中辺路から熊野本宮への流れがある。3社1寺の中で熊野本宮は中心的な役割を果たすシンボルである。
 一方で大辺路は、田辺市、上富田町、白浜町、すさみ町、串本町、大地町と6つの自治体を通過する。紀伊半島は海沿いに漁港や船の交易ルートが峻険な山の間よりも栄えたのか、町村合併が田辺よりも進まなかったし、4年ごとに行われる首長選挙の結果の変化も多く、まとまるにはなかなか時間と労力がかかるだろう。
 例えばこのルートには、白浜町に日置川を渡る、安居(あご)の渡しがある。とても風情のあるものなのだが、白浜町地元のボランティア支援により土日の決まった時間帯にのみ運航しており、事前の予約が必要だ。平日は道がここで切れていることになる。
 大辺路は峻険な中辺路に比べておおらかな道で、文化人が好んで歩いたという。せっかくの歴史的な道、それも熊野古道という世界的ブランドがあるこの大辺路をなんとかしたい、してやろう、やらなければならない、という、例によって誰もやらないことをやってみようという本能がまた動き出した。これは ‘面白い’ テーマなのだ。

 まずは仮説を立ててみた。

  • 自治体間のプロジェクトは何年かかってもできない(これまでもできなかった)から全体を取り上げてはいけない
  • 日置川安居の渡しという難所がある。まずは一本の道で考えず、すでにある9つのブロックを1つ1つの魅力で、低山山歩きの良さを見つけるものにする
  • 鉄道沿いというメリットを使い倒す(中辺路にはない)
  • 道沿いから海が見えるという素晴らしさを表現する(中辺路にはない)
  • 望海巡礼の道、あるいは森と黒潮に抱かれて、あるいは海から来て海に帰るイメージ

つまり海と熊野古道がテーマになる。

(田辺市熊野ツーリズムビューローの公式サイトから転載)

 その結果。まずはすさみ町の長井坂という海を望む山歩きコースを歩いてみたい、という相談を紀州くちくまの熱中小学校の沖田事務局長に相談したら、短時間の中で生徒でありガイドの資格を持つ住職の森本眞弘さんや浜田千佐子さん、居邊博之さんが集まり、すさみ町の岩田町長、中嶋観光協会長も出発前のランチミーティングに参加いただけた。

 この道を「食」の観点から設計し直してみようということで、沖田事務局長と相談して、食と歩き「食の熱中小学校」の新しいツアーとして誕生した。それが、
  近熊野古道・健脚食熱の旅 ―歩いて美味しい紀南の食文化と蒸留所を訪問―
なのだ。
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これまで観光ルートとはならなかった場所ばかり。
パンダのいない南紀は小さくともこんな活動がとても大切なのだ。

(田辺市熊野ツーリズムビューローの公式サイトから転載)

(和歌山県公式サイトから転載)

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