第21章 『極めて社会にとって意義深い事なのに、これまで誰も手をつけていないことをする』―雜賀慶二さん、90代にも迷い無し

 ‘金芽米’ をご存じだろうか?

 金芽米とは、独自の精米技術で、胚芽の基底部『金芽』とお米の栄養と旨味成分のある層を残した無洗米で和歌山県和歌山市と、東京銀座に本社がある東洋ライス(株)が販売している。

 そして、なんと無洗米の技術もこの東洋ライスの雜賀慶二社長が発明したものだ。

 雜賀社長がまだ若い時に瀬戸内海の連絡船に乗って、海の汚染を目撃したことから思いが始まる。各家庭で出るとぎ汁を減らそうと工場で別処理して無洗米が生れた。

 便利にする、省時間より、環境配慮から始まった発明だった。

 こうした、米の搗精加工(とうせいかこう)という我が国伝来の世界に62年間社長として工夫を凝らしている雜賀さんは今年89才、熱中小学校では最年長の教諭である。

 雜賀さんを紹介いただいたのは、和歌山県すさみ町の岩田勉町長で、すさみ町では小中学校の給食を金芽米に代えて子供たちの健康へ貢献を進めようとしている。

2023年3月13日発行の『和歌山デイズ vol.1』から

 私より一回り年長の雜賀さんだが、お酒を飲んでも矍鑠としている。そしてお土産が、特別の紀州梅干しだった。

東洋ケンコー梅のおみやげ。和歌山県みなべ町の井ノ谷地域から

 東洋ケンコー梅は、日本一の梅の産地といわれる和歌山県みなべ町の井ノ谷地区で、栽培方法としては米の精(BG無洗米生産時に出る肌ヌカ)を施肥したものだ。

 雜賀さんの行動原理には、無駄なものは出さない、リサイクルがあるのだが、この梅はさらに ‘医食同源’ 製品として自然の養分エキスが食にも薬にもなるという考えの手紙になっている。

 2021年4月には財団法人 医食同源生薬研究財団(事務局:東京都中央区、代表理事:米井 嘉一)を設立して、太古より生薬として重宝されてきた農作物や水産物によって人々を元気にし、歳をとっても元気はつらつで働ける世に変える、いわゆる「医食同源」の社会実装を目指して学会の研究を支援している。

 雜賀さんは設立者挨拶で「1日も早く我が国の医療費や介護費を減らし、健康寿命の延伸化を図り、不肖私のように87歳になっても納税などによって社会を支える老人を増やし、少子高齢化の難題もクリアしたいし、更には我が民族の出生児の著しい減少化や、増加傾向にある障害児の出生に歯止めを掛けることも目指したい。そのために少なくとも10年間は、毎年1億円をかけた公益活動を展開する所存である。「私はこれまで、『極めて社会にとって意義深い事なのに、これまで誰も手をつけていないことをする』との理念に基づき、人の物真似や、どなたかが既に手をつけられている事はせずに行動してきた。当財団の設立も、その理念に基づくものである。」と述べている。

 雜賀さんは、栄養価を残した白米である「金芽米」や、食べやすい、おいしい玄米である「ロウカット玄米」の製造工程のプロセス改善に現場で心血を注いでいる歴史は、米の世界での本田宗一郎さんという感じがする。

 しかし、我が国は深刻な米の消費の減少傾向、農業の生産現場での担い手の激減が想定されるなど、中間の製造プロセス発明と普及だけでは雜賀さんの思いが届かない時代になった。

 そして、雜賀さんは、米による社会改革、つまり医療費の削減、少子化問題、米の消費拡大解決などを「天命」と決めてただ前に進んでいくのだ。

雜賀慶二さんのインタビュービデオはこちら:

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