第68章 浅田一憲さんの「毎日が難しくても、新しい記念日」
2023年11月23日(木・祝日)の朝、Facebookを開いたら、今日は浅田一憲さんが開発された3つの視覚補助用スマホアプリ(「色のめがね」「色のシミュレーター」「明るく大きく」)の累計ダウンロード数が200万回になった日だとアップされていた。
ユーミンの『ANNIVERSARY』の「明日を信じてる あなたと歩いてる ありふれた朝でも 私には記念日」のフレーズのように、2010年以来ずっと一人でこれらのフリーソフトの開発とメンテナンスを続け、共に歩いてきた記念日。そして世界中の色覚異常がある人達の補助ツールとして、老人や目の悪い子供たちが知識を得るために無くてはならない道具として頼られ、歩み続けてきた記念日だ。
11月23日は祝日であり勤労感謝の日だ。そのような日に北海道から上京している浅田一憲さんの時間をいただいてのインタビューは、このお祝いから始まった。
浅田一憲さんが起業し、上場までした会社を手離して北海道大学で医学博士となったものの、離れた会社がらみでずっと嫌がらせを受けるなど悶々としている時に、アスキー時代からの知己である古川享さんと再会し、誘われて慶応大学のメディアデザイン研究科で研究活動をすることになった。そこで視覚補助用スマホアプリの開発が始動した。
古川享さんに偶然会い、声をかけられなかったら、浅田一憲さんの分身ともいうべき視覚補助用スマホアプリは生まれなかっただろう。
古川享さんはここしばらくの間リハビリに努力されているが、浅田さんがいろいろと相談に乗っているのもうなずける。
古川享さんと私は、私がIBMのパソコン事業時代にお付き合いいただいたが、当時からPCをソーシャルイノベーションの道具としていかに人を助けるか?という視点があった。
浅田一憲さんは藤野英人さんから紹介されて、更別村で授業をしていただき、熱中小学校とのご縁が生れた。
その後、北海道江丹別での熱中小学校校長としてその立ち上げをお願いし、ネット経由で全国の熱い生徒さんが集まるという新しい事例を創っていただいた。
古川享さんが定年で大学を去るにあたって、浅田さんが「熱中小学校江丹別分校」で感激的な「退官記念授業」の機会を創ったのも懐かしい思い出だ。
さて、浅田一憲さんが視覚の世界で現在集中的に活動しているのが、ViXion株式会社の新しい眼鏡だ。眼鏡のレンズが見ようとしているものを測定し、その形を瞬時に変更してフォーカスしていくという。この秋にクラウドファウンディングで5,700人から4億円以上が集まり、いよいよ出荷が始まる。現在ではオンライでも販売している。
まだまだ制限があるものの、私を含め PC とスマホばかり見ている人間には朗報で、首や肩のコリが減るのならと興味深々だ。
もう一つ、IoT・情報セキュリティをコアに社会の課題を解決する株式会社ハウディも起業。ご子息が社長となられ、浅田さんはいずれも会長の立場にある。
こうしてテクノロジーを個人や社会の問題解決に使っていく仕事の中で、お金の循環を計りながらやがて無くてはならない企業に育てることは挑戦的なライフワークだ。
組織が大きくなっていっても、結局は創業者が何から何まで考えないといけないステップが浅田一憲さんにとって苦しくとも楽しい時間ではないのではないだろうか。
ちょっと一息つきたいときには、ぜひ引き続き全国の熱中小学校で授業をお願いいたします!
浅田一憲さんのインタビュービデオはこちら:
ViXion株式会社はこちら:https://vixion.jp/